疾患について

黄斑上膜(黄斑前膜)

網膜の一番大事な場所の黄斑に膜が張る病気です。
膜が網膜を引っ張る事が原因でしわが生じ、物がゆがんで見えたり、大きく(小さく)見えたり、進行すると視力が低下してきます。

硝子体手術で黄斑上膜を取り除いて、網膜のしわを伸ばします。
黄斑は非常に繊細にできているため、手術をしてもすぐによく見えるというわけではなく、改善には数か月単位を要することが多い病気です。
進行していると手術をしても視力の改善が悪かったり、ゆがみが残ることが多いです。

ゆがみが出たり、視力が低下したりしたら早めの手術が必要になりますが、初期だと症状が少ない方もおり、進行具合も異なります。
当院ではゆがみの検査も詳しく行い、適切な時期での治療を相談させていただきます。

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黄斑円孔

網膜の一番大事な場所の黄斑に穴が開く病気です。
視力にとって最も大事な黄斑部に穴が開いてしまうので、視力は低下し、見ようとする中心部分がつぶれて見えるようになります。

原因は、年齢の変化により硝子体が変化し黄斑部の網膜を引っ張ることで、治療としては硝子体手術を行います。
一度の硝子体手術で90%以上が治癒しますが、ガスを眼球内に入れて手術後1日~数日間のうつむきが必要となります。

長期間放置された場合は円孔が閉じにくくなったり、閉じた場合でも視力が改善しにくくなるため、見つかったら早めに手術を行います。

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硝子体出血

眼内の血管などが切れて、硝子体(ゼリー状の物質)中に出血をきたした状態の総称です。
本来透明な硝子体が濁るために極端に視力が低下し見えにくくなります。
出血量が少なければ自然に吸収されることもありますが、吸収されない場合は硝子体手術を行います。

原因としてはさまざまで、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜細動脈瘤、後部硝子体剥離、網膜剥離などで生じることがあります。

視力がどこまで改善するかは、原因疾患と黄斑部の状態によるので個人差があります。

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眼内レンズ亜脱臼・眼内レンズ脱臼

白内障手術時に入れた眼内レンズを支えている糸(チン氏帯)が弱く、眼内レンズがずれたり、眼内に落ちる状態です。
レンズがずれるため視力が低下します。

原因としては、もともと水晶体を支える糸(チン氏帯)が弱かったり、
外傷や硝子体手術をされた方やアトピー疾患をお持ちの方が多いですが、理由がわからないこともあります。

治療は硝子体手術を組み合わせて、眼内レンズを摘出して、新しい眼内レンズを白目(強膜)に固定する術式で手術を行います。

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糖尿病網膜症

糖尿病の三大合併症の一つに糖尿病網膜症があります。
糖尿病になると、全身の毛細血管がつまりやすくなり、毛細血管が豊富な網膜は全身の組織のなかでも障害を受けやすくなります。

糖尿病を治療せずに放置し続けると、網膜の毛細血管がつまり、血流が途絶えてしまいます。
さらに放置すると新生血管というもろくて不完全な血管が網膜上に出現し、
突然出血したり(硝子体出血)、網膜を足場に増殖膜という病的な膜が張ってきます(増殖糖尿病網膜症)。

増殖膜は放置すると網膜表面に広がり、やがて網膜を引っ張り網膜剥離を引き起こします。
剥離した網膜は光を感じるという本来の機能が低下し、視力は急激に低下します。
増殖糖尿病網膜症は糖尿病網膜症の最終段階で、硝子体手術しか治療の手段はありません。

硝子体出血

増殖糖尿病網膜症

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糖尿病黄斑浮腫

血液中の水分が漏れ出て、黄斑部に水が溜まってむくむと(黄斑浮腫)視力が低下します。
黄斑浮腫に対しては、抗VEGF療法、レーザー治療、硝子体手術を組み合わせて治療を行います。

初期には視力低下や痛みなどの自覚症状も全くないため、放置されがちですが、自覚症状がでたときには既に治療が困難である事も少なくありません。
糖尿病と診断されたら必ず眼科の定期検診を受けるようにしましょう。

網膜静脈閉塞症

網膜には動脈と静脈が走っていて、静脈がつまったものを網膜静脈閉塞症といいます。
血管の枝がつまると、網膜静脈分枝閉塞症と呼び、中心部分の血管がつまると網膜中心静脈閉塞症と呼びます。

網膜静脈分枝閉塞症

網膜静脈分枝閉塞症は、静脈の枝が動脈の圧迫により閉塞した状態で、
血液が閉塞した部位より先に戻れなくなることで出血を来し、黄斑部に水が溜まる(黄斑浮腫)と視力が低下します。

治療は抗VEGF療法が有効な事が多いですが、何度も注射が必要になる場合が多く、金銭的負担が重くなります。
病気の状態によって、レーザー治療、硝子体手術などを組み合わせることもあります。

網膜中心静脈閉塞症

網膜の静脈の中心部分が閉塞した状態です。
部分的な閉塞で起こる網膜静脈分枝閉塞症よりも重症で、ほとんどの場合で黄斑部が腫れ、重篤な視力低下となります。
治療方法は、抗VEGF療法やレーザー治療、硝子体手術などがありますが、治療の効果はあまり高くない場合が多いです。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性症は、網膜の中で最も視力に関係する大切な部分(黄斑)に
加齢が原因で異常な血管(新生血管)が生じる病気です。
新生血管が原因で黄斑部に出血したり、水がたまるため、症状としては、
視力が低下したり、ものがゆがんで見えたり、真ん中が見えにくくなります。

喫煙者は発症する頻度が高いことがわかっており、
太陽光、高血圧、偏った食生活、遺伝などの関与も指摘されています。

治療としては、抗VEGF療法(硝子体注射)、光線力学療法(PDT)を行いますが、
大出血(硝子体出血、網膜下出血)した時は硝子体手術を行うこともあります。
当院での硝子体注射は、ご希望に応じて当日注射も可能ですので、治療の時期を逃さずに行えます。

網膜裂孔

網膜裂孔は、カメラでいうとフィルムに当たる網膜に穴が空いてしまう病気です。
原因はさまざまですが、目の中にある硝子体によって網膜が引っ張られることが多いです。
放置すると網膜剥離に進行して失明してしまいます。
レーザー治療(網膜光凝固術)を行うことで、進行を止めれることもありますが、
硝子体の引っ張る力が強いと網膜剥離に進展することもあります。

網膜剥離

網膜剥離は、カメラでいうとフィルムに当たる網膜がはがれてしまう病気です。
原因はさまざまですが、網膜に穴があいて網膜の下に水が流れ込んでしまう裂孔原生網膜剥離が多いです。
放置すると失明してしまうため、できるだけ早めの手術が必要となります。